お墓に造花を供えてもいい?霊園の規則と、生花との違い

お墓に造花を供えてもいい?霊園の規則と、生花との違い

造花を供えてはいけない、と決めた条文は見つかりませんでした。国の法律にも、東京都霊園条例にも、都立霊園や大阪市が出している墓参の案内にも、造花という語そのものが出てきません。宗派の公式サイトを開いても、同じでした。

それでも落ち着かない。よく分かります。「お墓に造花はマナー違反」と書かれた文章を一度読んでしまうと、条文を確かめたくらいでは気持ちのほうが戻らないものです。

花立てを造花にしようかと考える方には、たいてい事情があります。墓所が遠い。仕事の休みが合わない。膝や腰の具合で、しゃがんで花を挿す動作がつらい。次にいつ行けるか自分でも分からないのに、花立てが空いたままなのは気になる。私たちが代行のご依頼を受けるときに伺う事情も、ほとんど同じです。しばらく行けていなくて気になっていた、という方が52.9%を占めました(当社の利用者アンケート、複数回答、回答102名)。

造花の可否は、三つの層に分かれています。条例や規則に書いてあるか。宗教が何か言っているか。施設の運用として困ることが起きるか。この三つが混ざったまま「マナー」というひとつの言葉で呼ばれているせいで、どれに答えればよいのかが見えなくなり、結果として造花を選びにくくなっているだけなのです。順に開いて確かめていきます。

造花を禁じる条文は、条例にも霊園の案内にも見当たらなかった

公的な文書から始めます。

東京都霊園条例が禁じているのは、七つの行為だけ

公営霊園を運営する自治体は、それぞれ条例を置いています。規模でいちばん大きいのが東京都の霊園です。東京都霊園条例のうち、使用者の行為を制限しているのは第二十七条にまとまっています。

「霊園内では、次に掲げる行為をしてはならない」として並ぶのは七つ。物品販売や業としての写真撮影その他の営業行為、広告宣伝、知事が指定した場所以外への車両の乗り入れと留め置き、霊園内の土地または物件の損壊、植物の採取または損傷、鳥獣魚介の類の捕獲や殺傷。そして最後に「前各号に掲げるもののほか、霊園の管理運営に支障を及ぼすおそれがある行為」(東京都霊園条例第二十七条)。ただし前の三つには、知事の許可を先に受けていれば差し支えない、と但し書きが添えられています。

供える花の形式に触れた号は、ひとつもありません。

条文の抜き書きだけでは足りないので、全文も確かめました。東京都産業労働局が公開している日英対訳版は全33ページ、日本語と英語を合わせて5万字を超えるのですが、この文書から文字を取り出して端から検索しても、「造花」は0件でした。「花」も「供物」も、条例のどこにも出てきません。花そのものについて定めた条文がないのですから、造花だけを別扱いする条文も置かれていないわけです。

都立霊園と大阪市の案内にも、造花の語はない

条例より現場に近いのが、施設が出す案内です。こちらのほうが、当日の行動には効いてきます。

都立霊園のよくある質問は、ごみの扱いを細かく分けて案内しています。草や枝葉は園内の置き場へ、菓子や果物、花の包装材、缶やペットボトルは持ち帰り(都立霊園 よくあるご質問)。

置いて帰れるものと、持ち帰るもの。線が引かれています。ただし造花はどちらにも書かれていません。

大阪市が出している市設霊園のご案内も開きました。お供えについての記述は「カラスなどがお供え物を食い荒らしますので、お参り後は各自でお持ち帰りください」の一文だけ。ここにも造花への言及はありません。

それでも「禁止している霊園もある」と書かれ続ける理由

では、なぜどの解説記事にも「禁止している霊園もあるので確認を」という一文が入っているのでしょうか。答えは、たぶん逆から来ています。規則の実物を示した記事は、今回見た範囲では見つかりませんでした。見ていないからこそ、断定を避ける一文が要る。

結果は空振りでした。造花を明文で禁じている霊園規則の実物には、今回たどり着けていません。逆に、造花をすすめると公式に書いている霊園や寺院の案内も確認できませんでした。どちらの方向にも、根拠になる文書が出てきていません。

存在しない、という意味ではありません。全国の霊園と寺院が出している使用規則をすべて開いたわけではありませんし、私たちが施工でうかがった霊園・寺院は638か所を数えるとはいえ、それでも国内のごく一部にとどまります。紙で配られるだけの利用のしおりも、まだ数多く残っています。

確かなのは二つ。公開されている公的な文書の範囲では、造花を禁じる条文を確認できなかったこと。それとは別に、規則に書かれていなくても、その墓地の管理者の運用が優先すること。この順序は動きません。決まりの有無より、そこの管理事務所がどう言うかが先に来ます。参り方の決まりがどこまで文書になっているかは、お墓参りとは何をすることかで全体を整理しました。

本願寺派が「造花は避けましょう」と書いているのは、仏壇の花について

次は宗教の側です。造花を避けるべきだという説明は、宗派の教えとして語られることがあります。出どころを確かめました。

本願寺派のよくあるご質問に、造花の項目はない

浄土真宗本願寺派の公式サイトには、よくあるご質問がまとまっています。お仏壇、お墓、仏事、葬儀、礼儀・作法の五分野で、全部で28問。このうちお墓の分野には「浄土真宗のお墓は?」「納骨とお墓参り」「分骨とは?」「お墓の継承」が並びます。

この28問を通して読みましたが、「造花」という語は一度も出てきませんでした。ただし同じ本願寺派でも、サイト内のお盆の特集記事には造花への言及があります。「季節の花をいけましょう。ただし、バラのようなとげ花、悪臭花、毒花、造花は避けましょう」(浄土真宗本願寺派 お盆の紹介)。避けるように、と書かれている。

この一文が置かれているのは「お仏壇のお飾りには何が必要?」という見出しの下です。ご自宅の仏壇をどう飾るかを説明する流れのなかにあり、お墓の花立てについて述べたものではありません。墓前の造花に触れた記述は、確認できたページの範囲では見当たりませんでした。

西本願寺の仏華のページが扱っているのは、生花だけ

西本願寺は、堂内に立てる仏華(ぶっか)を紹介するページを別に持っています。立花(りっか)の役枝の構成と、使った花材の一覧。常緑の枝から季節の花まで、五十をこえる花材が名前入りで並んでいます。

ここにも「造花」の語はありませんでした。載っているのは生きた植物ばかりです。ただし、これは本山の堂内に立てる正式な仏華についての紹介であって、各家庭のお墓の花立てに何を挿すべきかを述べたページではありませんから、造花を排する根拠として読むのは行き過ぎになります。

浄土宗のよくあるご質問にある、お墓参りの作法についての回答も開きました。掃除のあとの流れとして「きれいになったらお花、お線香をあげ」と書かれています(浄土宗 よくあるご質問)。「お花」とあるだけで、生花か造花かの指定はありません。

真宗大谷派、曹洞宗、日蓮宗、天台宗については、造花の可否を述べた公式の記述に到達できませんでした。書かれていないと断定はできません。探した範囲で見つからなかった、というのが正確なところです。ご自身の宗派の考え方が気になるようでしたら、菩提寺(ぼだいじ/先祖代々のお墓があるお寺)に伺うのが確実です。

業界団体の会長は「きまりはありません」と書いている

宗派の外にも、答えている人がいます。全国優良石材店の会が公開しているコラムで、会長の吉田剛氏が造花に直接答えていました。

「一般的に言えば、生花が望ましいと思いますし、基本だと思います。さりとて造花はいけないというきまりはありませんし、生花は腐って異臭を放つので、禁止しているところさえあります」(全優石 お墓博士「お墓に造花をお供えするのはよくないのか?」2014年10月10日)。

同じ文章には、こうもあります。「亡き人への想いが込められていれば、野花一輪でも、造花一本でもよい供養になるのです」。

なお、このコラムには供える側の動機に踏み込んだ一節も含まれています。そこで戒められているのは、たびたび足を運ぶのが面倒だから造花にする、という動機でした。行きたいけれど行けない事情は、それとは別の話です。遠方に暮らしていて次に行ける日が読めないから、せめて花立てを空けたままにしたくない、という判断まで咎める文章ではありません。

読者の事情にいちばん近い書き方をしていたのは、お墓の情報サイトのQ&Aでした。「お墓が遠かったり、忙しいなどの事情で頻繁にお墓参りには行けない場合などで、お墓に花を絶やさないようにしたいのであれば造花を飾られるのも良いでしょう」(いいお墓「墓前に供える花は造花でもよい?」)。遠さと忙しさを、そのまま理由として認めています。

「マナー違反」という言い方には、三つの別の話が混ざっている

ここまでで、宗教の側にも公的な文書にも禁止は見当たりませんでした。それなのに「造花はマナー違反」という言い方だけが残り続けているのは、性質のまるで違う三つの話が、ひとつの言葉に束ねられたままになっているからです。

言われていること 実際には何の話か 誰に確かめれば決着するか
花は枯れるからこそ意味がある 教えの解釈。出典を確認できていない 菩提寺のご住職
造花は霊園で嫌がられる 作法ではなく後始末の問題 管理事務所・寺務所
親戚に何か言われそう 宗教でも規則でもなく家族の合意 お墓を継いでいる方と親族

花が枯れることに意味を見る、という説明の出どころ

生花はやがて枯れる。その移り変わりが無常を示していて、だから生花でなければならない。この説明は、造花を扱う記事のあちこちで見かけます。

もっともらしく聞こえます。出どころを探しました。ただ、この説明を載せた宗派の公式ページは、今回の調査では見つかりませんでした。各宗派の法話や作法のページも開きましたが、この説明の出どころにあたる文章は見つけられませんでした。

ですから、こう書くのが正確です。そういう説明をする記事は多いけれど、宗派の公式に同じ記述は確認できなかった。ご住職が同じ考えをお持ちなら、それはその寺に伝わってきた教えとして尊重すべきものですが、仏教全体に共通する決まりとして語られているのだとすれば、裏づけになる文書は見当たりませんでした。

施設の側が気にしているのは、作法よりも後始末

管理者が造花に難色を示すことがあるとすれば、その理由は運用の側にあります。花立てにずっと挿さったままになる、色あせて景観が落ちる、ごみとして分別しにくい。挙げられるのは、たいていこの三つです。

裏を返すと、後始末の見通しが立っていれば、多くは問題になりません。誰がどのくらいの間隔で入れ替えるのか、飛んでしまったときに誰が拾うのか。この二点がはっきりしていれば、管理事務所への相談も通りやすくなります。

三つめは、宗教でも規則でもなく人間関係

実際にいちばん重いのは、これです。年に一度顔を合わせる親族に、花立ての造花をどう見られるか。

これは調べても答えが出ません。条例にも教義にも書かれていないのですから、話して決めるしかありません。切り出し方については後半で触れます。

生花と造花で、いちばん違うのは供えたあと

差が出るのは、供える瞬間よりもそのあとです。代行で一日に何区画も回っていると、生花の墓所と造花の墓所で手のかかり方が違ってくることが、はっきり見えてきます。

下げ花置き場が受け止めるのは、草と枝葉

先ほど引いた都立霊園の案内をもう一度見てください。置いていってよいものとして挙がっているのは、掃除で出た草や枝葉です。生花を下げたものは、この扱いに近い。土に還る植物として処理されます。

造花はどうか。書かれていません。書かれていないということは、現場では判断が管理者に委ねられるということです。ポリエステルとワイヤーとプラスチックでできたものを、草木のごみと一緒に置いていってよいかどうか。多くの施設では分別が別になりますし、施設によっては引き取りの対象になりません。

つまり、造花を供えるなら、外したものは持ち帰る。ここを最初から決めておくと、揉めごとがほぼ起きません。持ち帰りの考え方はお墓参りで避けたいお供えの扱いにも通じます。

飛んで隣の区画に入ると、誰も片付けない

強い風の吹く区画では、造花が抜けて飛びます。生花も飛びますが、生花は数日で朽ちて分からなくなる。いっぽうで造花は、そのまま残ります。

隣の区画に入った造花を、隣家の方が片付けてくれることはまずありませんし、管理者のほうも、誰の持ち物か判断のつかないものには手を出しにくいものです。結果として、色あせた花が誰の区画でもない場所に転がったままになります。

私たちがうかがう霊園でも、建物のあいだが風の通り道になっている一角では、行くたびに見かけます。造花で困ることが起きるとしたら、多くはこの形です。困りごとの正体は、たいてい物理でした。

花立てに水が残る問題は、造花でも起きる

水がいらないのだから花立ては空のままにしておける、と思われがちなのですが、屋外の花立ては上向きに口が開いていますので、雨が降れば必ず水が溜まります。生花のときと同じだけ溜まる、と考えてください。

茎を挿しっぱなしにしていると、その水が抜けないまま夏を越します。内側にぬめりが出て、藻が張り、口の周りに輪染みが残る。造花に替えたのに花立ての中だけ汚れが進む、という状態はここから来ます。

対策は単純です。お参りのたびに花立ての中を空にしてひっくり返し、落とし込みの内筒が抜けるタイプなら抜いて洗ってから戻す。手間はこれだけです。墓石の掃除と合わせた手順はお墓掃除の手順と参拝のマナーに、使ってはいけない道具や洗剤はお墓掃除で使ってはいけないものにまとめてあります。

替えどきが何か月で来るかは、素材と区画の向きで変わる

では、造花はどのくらいで替えればよいのでしょうか。半年から一年、と案内している記事が多いのですが、その数字がどこから来たのかは示されておらず、実際の持ちは素材と置き場所によってかなり大きく振れます。

南向きの区画と、建物の陰になる区画

同じ霊園のなかでも、色あせの進み方はそろいません。一日じゅう日の当たる南向きの区画と、本堂や擁壁の陰に入る区画とでは、明らかに差が出ます。色を抜くのは、主に紫外線の働きだからです。日照時間が長いほど早い。加えて、雨が直接当たるかどうかも効きます。

ご自分の区画がどちらに近いかは、一度お参りしたときの日の当たり方で見当がつきます。正午前後に影がほとんどできない区画なら、案内されている期間より早く替えどきが来ると考えておくほうが安全です。

替えどきのサインは、花弁の縁と茎に出る

期間で決めるより、現物を見るほうが確実です。現場で替えどきと見ているのは、次のような状態です。

見た目の変化 起きていること
花弁の色が白く抜けてきた 紫外線で染料が退色している
花弁の縁がほつれ、毛羽立っている 布地の目が開いてきている
茎の付け根に茶色い筋が出ている 内部のワイヤーがさびて染み出している
触ると花弁がぱさついて割れる 樹脂が劣化して硬くなっている

ワイヤーのさびは見落としやすいわりに影響が大きく、染み出したさびが墓石に触れたままになると、石の表面に色が移ってしまうことがあります。茎の付け根に茶色いものが見えたら、期間にかかわらず外してください。

屋外で持つかどうかは、値段よりも素材で決まる

百円台の造花を墓前に供えてよいか。よく検索されている問いです。

結論から言えば、値段そのものは可否を決めません。値札は目安になりません。決めているのは素材と加工です。安いものが屋外で早く傷むのは事実ですが、それは値札のせいではなく、屋外向けの加工がされていないからです。

売られている造花には、室内で飾ることを前提にしたものと、屋外での使用を想定したものがあります。前者は薄いポリエステルの布地に染料を乗せただけのつくりが多く、直射日光と雨にさらされると数か月で色が抜けます。後者は表面に樹脂でコーティングを施したり、紫外線を防ぐ加工を加えたりしています。パッケージや商品説明に「屋外用」「UVカット」といった表示があるかどうかが、いちばん分かりやすい目印です。

百円ショップの棚にも、屋外用と書かれた造花が並ぶことがあります。店の名前で判断せず、表示を見てください。同じ店の同じ棚でも、室内向けと屋外向けが混じっています。

先に断っておきます。私たちも造花を扱っていますので、この記事には売る側の立場が入っています。そのうえで、特定の商品をおすすめすることはしません。店頭でご自分で確かめられる軸を、三つ挙げます。屋外用の表示があるか。花弁の縁が薄い布のままか、樹脂で固められているか。茎に金属のワイヤーが入っている場合、被膜がしっかりしているか。この三つを店頭で見るだけでも、持ちはずいぶん変わります。

なお、造花であっても花の種類そのものが気になる場合があります。トゲのある花や香りの強い花をどう考えるかは、お墓参りの花のタブーと選び方のほうで扱っています。

プリザーブドフラワーとドライフラワーは、屋外の花立てに向かない

造花の代わりに、と考える方がいます。生花に近い質感で長持ちする。屋内なら、そのとおりです。屋外のお墓では話が変わります。

プリザーブドフラワーは、生花から水分を抜いて染料を含ませたものです。第一園芸はお手入れの案内で「湿気や熱気に弱い為、直射日光・高温多湿を避け、風通しのよい場所に飾ってください」と書いています。さらに「梅雨や夏の間は、特に染料が漏れてくる液だれが起こりやすい季節になります」とも。

直射日光と高温多湿を避ける。屋外の花立ては、この条件からもっとも遠い場所にあります。雨に濡れれば染料が流れ出し、梅雨のように湿度の高い日が続けばカビが出て、日を遮るものがない区画では退色も早く進みます。ドライフラワーも同じで、雨を受けると形が保てません。

失礼にあたるという話ではありません。物性の問題です。お仏壇に飾るぶんには、どちらも差し支えありません。

造花と生花を両方使っている区画は、珍しくない

造花か生花かを、どちらか一方に決める必要はありません。両方でよいのです。実際、片方に寄せずに使い分けている区画は、都市部の霊園でも地方の寺院墓地でもよく見かけます。

形はいくつかあります。左右の花立てのうち片方を造花にして、もう片方を空けておき、お参りの日に生花を挿す。普段は造花だけにしておき、お盆やお彼岸、命日といった節目の日に生花を足す。あるいは、遠方に住むご家族が造花を、近くに住むご親族が生花を、それぞれ受け持つ。

何本挿すかという話はお墓の花の本数と数え方で扱っています。造花でも生花でも、その墓地と家で続いてきた形に合わせておけば、まず外しません。

お盆やお彼岸に生花を持っていくつもりなら、その日に造花を外して持ち帰り、次に来るまでの間だけ挿し直す、という往復になります。お盆の日取りはお盆はどんな行事か、お彼岸はお彼岸の過ごし方で整理しました。お供え物全般の考え方はお供え物の意味と作法にあります。

親族に切り出すときの言い方

反対が出るとき、引っかかっているのは造花そのものより決め方のほうです。相談のないまま花立ての中身が変わっていた、という部分が残ります。

では、どう切り出せばよいのでしょうか。順序を変えるだけで、だいぶ通りやすくなります。造花にしたい、から入らず、花立てが空いたままになる期間が長い、という事実から話す。そのうえで、節目には生花にしたいと添える。造花は空白を埋めるための手段であって、生花をやめる宣言ではない、と伝わる形にします。

持ち帰りと入れ替えを誰が担当するかも、先に決めておくとよいところです。管理の当番が決まっていれば、置きっぱなしになる心配がないと分かります。反対の中身が「片付ける人がいなくなる」への不安なら、これで解けます。

風の強い区画で、飛ばさないためにできること

軽いのが弱点です。生花よりよく飛びます。

やることは三つです。茎を花立ての底まで深く挿す。花立ての口に隙間が残るなら、園芸用の吸水スポンジや、口をふさぐ器具で埋める。丈の高い造花や、花の面積が大きいものは避けて、低く小さくまとめる。

それでも飛ぶときは飛びます。海に近い霊園や、高台で風が抜ける区画では、固定より本数を減らすほうが結局うまくいきます。

お墓の造花について、よくいただく質問

造花に水は入れるのですか

入れる必要はありません。むしろ入れないほうがよいくらいです。水を吸わないので、入れた分がそのまま滞って傷みます。ただし屋外では雨水が自然に溜まりますので、お参りのたびに空けて水を切ってください。

他家のお墓や友人のお墓に、造花を供えてもよいですか

そのお墓を守っているご家族に一言うかがってから、というのが無難です。造花は置いたままになる性質のものですから、色があせてきたときに外して持ち帰る役目は、結局そのお墓を継いでいるご家族に回ります。ご自身の判断で決められるのは、ご自身の家のお墓まで。そう考えておくと、行き違いが起きません。

派手な色や、洋風の造花は避けたほうがよいでしょうか

避けなければならない、という決まりは確認できませんでした。色や形を制限した条例も、宗派の記述も見つかっていません。気にするとすれば、周囲の区画との釣り合いくらいです。全体が落ち着いた色でそろっている霊園のなかで一区画だけ鮮やかだと、どうしても目に留まりやすくなります。生前好きだった色を選ぶ方も多く、そこは自由に決めてよい部分です。

造花に替えたら、お墓参りの回数を減らしてもよいのですか

年に何回行くべきかを定めた法令も、宗派の記述も見つかりませんでした。花立てが空かないぶん、次に行くまでの間隔を気にせずに済む。そこを埋める効き目が、造花にはあります。行ける年に、行けるだけで足ります。

宗派によって、造花の扱いは違いますか

墓前の造花について書いている宗派は、確認できた範囲では見当たりませんでした。浄土真宗本願寺派はお盆の特集記事で「造花は避けましょう」と書いていますが、これはご自宅の仏壇の飾りについての案内です。他の宗派でも、造花の可否を述べたページには到達できていません。ご自身の宗派での考え方を知りたい場合は、菩提寺にお尋ねください。

造花を供えていると、管理事務所から注意されることはありますか

そういう運用をしている施設があるかどうかは、規則の実物では確認できませんでした。ただ、条文に書かれていなくても、施設の判断で声をかけられる場面はあり得ます。新しくお墓を持たれた方や、久しぶりに墓所へ行かれる方は、開門の時刻を尋ねるついでに、造花のことも確かめておくと安心です。電話一本で片が付きます。

空けたままにしておくより、挿してあるほうがいい

調べたことを並べ直します。国の法律は埋葬と施設の管理を定めていて、供える花には触れていない。東京都霊園条例には、花という語すら出てこない。都立霊園と大阪市の案内にも造花の記述はなく、業界団体の会長は、造花はいけないというきまりはない、と書いています。

そのうえで、避けたほうがよいとされる場面は、たしかにあります。風の通り道になっている区画で、飛んだ造花が隣に残ってしまうとき。外したものを下げ花置き場に置けないとき。仏壇の飾りとして、宗派が生花を勧めているとき。どれも実際に起きることですから、なかったことにはできません。

ただ、その一つひとつは、置き方と後始末で片づく話でした。作法として造花そのものを退けている文書のほうは、探しても出てきませんでした。

そこで、比べる相手を間違えないことです。生花と造花のどちらが正しいか、ではありません。花立てが空いたまま一年が過ぎるのと、造花が挿さっているのと、どちらがよいか。そう置き換えれば、答えははっきりします。供えてあるほうがいい。

長く保つというのは、造花の弱点ではなく利点のほうです。次にうかがえるのが半年先だとして、生花はその週のうちに枯れ、下げる人もいないまま花立てに残ります。造花なら、半年後に着いたときにも花が立っている。ご自身が見ていない期間に、お墓の前に花があるということです。

決めることは二つだけです。その墓地の管理者がどう運用しているかを確かめること。外したものを誰が持ち帰るかを決めておくこと。この二つさえ片づけておけば、造花を選んだことで困る場面は、ほとんど起きません。

それでも、造花を挿しに行くことすら難しい年があります。そこを代わるのが、私たちの仕事です。掃除とお参りを済ませたあとに写真つきの報告書をお送りしていますので、花立ての様子はお手元で確かめていただけます。申し込みの手順はご利用の流れに、お墓のある市区町村が対象に入っているかは対応エリアにあります。

お墓掃除
代行プラン

27 , 500 円 ~ 税込

墓石清掃・雑草除去・お花・お線香
実施後の報告書(写真・コメント付)

  • お墓1基、区画1坪、営業所から1時間以内の交通費含む

受付時間/平日10:00~18:00(土日祝休業)