お墓の線香の供え方|寝かせる・立てるの違いと宗派別の作法
お墓の線香を寝かせるのか、立てるのか。各宗派の公式サイトを一つずつ開いて確かめたところ、「寝かせます」とはっきり書いていたのは浄土真宗本願寺派だけでした。「立てます」と明記した宗派は、開いた範囲では見つけられませんでした。
意外だったのは、その理由です。挙げられていたのは教義の話ではありませんでした。香炉の口が広いか狭いか、という入れ物の形の話だったのです。
線香の解説によく載っている「宗派別・本数と立て方」の一覧表は、どこから来たものなのでしょうか。出典をたどっても、宗派の公式サイトには行き着きませんでした。天台宗にいたっては、公式サイトが一覧表と正面から食い違うことを書いています。
順を追って確かめます。まず本願寺派が何と書いているか。なぜ形の話になるのか。そして仏壇の香炉と墓前の香炉は、同じものとして扱えるのか。開いたページは、すべてリンクで示します。
「寝かせます」と書いていたのは、浄土真宗本願寺派だけだった
浄土真宗本願寺派の公式サイトには、門信徒から寄せられた質問に答える「よくあるご質問」があります。お仏壇についての項目が並ぶなかに、「線香と焼香」という一項がありました。
「まず、日常的に使われる線香は、土香炉と呼ばれる口の広い陶磁器製の香炉で燃やします。この際、線香は立てずに、短く数本に折って寝かせます」(浄土真宗本願寺派 よくあるご質問)
立てずに、寝かせる。折ってよい。ここまで踏み込んで書いている宗派は、探した中ではここだけでした。線香をどう扱うかを、宗派の側から言葉にしている数少ない例です。
「立てる宗派」という括りは、出典を持たないまま出回っている
線香の解説記事を10本ほど並べて読むと、判で押したように同じ表が出てきます。真言宗は3本を逆三角形に、天台宗は3本、曹洞宗は1本を中央に、浄土真宗は折って寝かせる。数字も並びもよく似ています。
ところが、その表に出典が添えられている記事を、探した範囲では見つけられませんでした。どの宗派のどのページを見て書いたのかが分からないのです。表そのものが、記事から記事へ写されてきた可能性があります。
私たちが公開している線香をあげる意味と基本のルールにも、同じ形の表を載せてきました。今回この記事のために各宗派の公式サイトを開き直して、その表の内容が公式の記述と合わない箇所を含んでいることが分かりました。該当箇所は改める予定です。
寝かせる理由として本願寺派が挙げているのは、香炉の形だった
先ほどの引用には続きがあります。ここからが、この記事でいちばん伝えたい部分です。
「次に、法事などの改まった時に行う焼香は、フタのついた金属製の金香炉を用います。つまり、火種を入れて使用するのが金香炉なのです。ときどき、金香炉で線香を燃やす方がいますが、金香炉では口が狭く、形の上からも線香を寝かせるには適しません」(浄土真宗本願寺派 よくあるご質問)
形の上からも、適しません。教義に反するから立ててはいけない、という書き方をしていないのです。口の広い土香炉なら寝かせられる。口の狭い金香炉なら寝かせられない。置き方を決めているのは、まず入れ物の形だと読めます。
この順番は、迷ったときの助けになります。覚えている宗派名をたどるより、目の前の香炉の口がどれくらい広いかを見るほうが早い。線香が横に収まる幅があるなら寝かせられますし、口が細ければ立てるしかありません。手が勝手に決めてくれる場面のほうが、実際には多いのです。
ただしこの記述は、仏壇に置く香炉についてのもの
ここで一つ、慎重に線を引いておきます。本願寺派のこの記述は「お仏壇」の項目の中にあります。土香炉も金香炉も、家の仏壇に置く香炉です。墓前の香炉について書かれたものではありません。
墓前の線香の置き方に触れた記述は、本願寺派の公式サイトでは確認できませんでした。ですから「浄土真宗だから、お墓でも寝かせる」と言い切ることは、公式の記述だけからはできません。
とはいえ、家で寝かせている方が墓前で急に立てるのも不自然です。実際にお参りに伺うと、浄土真宗の檀家さんのお墓では香炉に線香が横向きに並んでいることがよくありますから、家の作法がそのまま墓前へ持ち出されている、という理解でいいのだと思います。
仏壇と墓前で違ってくるのは、教えの側ではありません。屋外という条件のほうです。雨が当たる。風が吹く。灰が飛ぶ。前に参った方の線香が残っている。仏壇の香炉なら起きないことが、墓前の香炉では日常的に起きます。
屋外という条件は、作法そのものを書き換えてしまうほどの力を持っています。仏壇の前でなら、寝かせるか立てるかは供え方の選択で済みますが、雨上がりの香炉に水が溜まっていれば寝かせた線香はそこで消えますし、灰が湿っていれば立てた線香も傾いて倒れてしまいます。教えの側が答えを持っていない場面を、天気と石の形が先に決めてしまうわけです。
墓前の香炉は、形が何通りもある
墓前に据えられた香炉には、決まった規格がありません。石材店ごと、時代ごと、霊園ごとに形が違います。私たちがこれまでに伺った霊園・寺院は638か所になりますが、それだけ回っても、今なお見たことのない形の香炉に出会いますし、寸法まで含めて同じものは、そうそう見当たりません。
形がこれだけ分かれるのは、香炉が信仰の道具であると同時に、屋外に置かれる石の加工物でもあるからです。どう彫り、どう据え、雨の落ちる先をどこに逃がすかという判断は石材店ごとに違いますし、建てた年代によって好まれた形もあります。同じ霊園の同じ区画で、隣り合うお墓の香炉が別の形をしていることも珍しくありません。
よく見かける形を、置き方への影響とあわせて並べます。
| 香炉の形 | 見た目 | 線香をどう置くことになるか |
|---|---|---|
| 立置型 | 上が皿状に開いた石を、墓石の前に据えたもの | 寝かせても立てても置ける。風雨をさえぎるものがなく、火が消えやすい |
| くり抜き型(角型) | 石の正面を四角く彫り込み、奥に空洞をつくったもの | 寝かせる前提の形。奥行きがあり、手前に置くと外へはみ出す |
| 経机型 | 脚のついた机の形に彫り出したもの | 上面が平らで、寝かせて並べやすい |
| 宮型・屋根付き | 社殿のような屋根が載っているもの | 屋根が雨を防ぐ。口が狭いものは寝かせにくい |
| 扉付き | 正面に金属や石の扉が付いたもの | 風と雨を防げる。扉の開け閉めが要る |
| 花立・水鉢と一体 | 花立てと水鉢が同じ石にまとまったもの | 香炉の口が小さく、立てるほうが収まりやすい |
香炉の形が違えば、置き方も変わるのでしょうか。変わります。くり抜き型に線香を立てようとしても支えがなく倒れますし、口の小さい一体型に長い線香を寝かせれば、火のついた先が石にあたります。作法より先に、形のほうが答えを出してしまう場面が多いのです。
継いだばかりのお墓なら、自分の家の香炉がどの形かを先に見ておくと迷いません。写真を一枚撮っておくと、次の年に思い出せます。
本数を定めている宗派を探すと、天台宗にたどり着く
本数についても、公式サイトを開きました。何本あげるべきかを私たちが決める話ではありません。確かめたのは、宗派の側が本数を定めているかどうか、その一点だけです。
天台宗の公式サイトには「檀信徒のお勤めの作法と心得」というページがあります。お仏壇に向かうときの手順を順に説明していく流れのなかに、こう書かれていました。
「お線香の本数には決まりはありません。『今私が献ずるこのお香の煙が、広く十方界にゆきわたって、諸仏・諸菩薩を供養し、ひいては先祖の世界にも届いて供養することができますように』と願いましょう」(天台宗 檀信徒のお勤めの作法と心得)
決まりはありません。宗派が自ら、そう書いています。本数を数えることより、香が行きわたるようにと願うことのほうへ言葉が向けられているのが分かります。
曹洞宗は、朝のお勤めの手順のなかで本数に触れています。「ロウソクに火を灯し、お線香に一本火をつけ、すこし押しいただいてお上げし、リンを三度鳴らします」。一本、と書かれている。ただしこれも、お仏壇に向かうときの流れのなかの一文です。同じページには、こうもあります。
「お線香は煙をお供えするのではありません。よい香りをお供えするのです」「香炉にも表と裏があります。三本足の場合には、手前に一本の足がくるようにします」(曹洞宗 お仏壇のまつり方)
香炉の足の向きまで書いている一方で、線香を立てるか寝かせるかについては、このページに記述を確認できませんでした。墓前についても同じです。書かれていたのは、香りと、香炉の据え方でした。
浄土宗の「よくあるご質問」にはお墓参りの手順が書かれていますが、線香については「お花、お線香をあげ」とあるだけでした(浄土宗 よくあるご質問)。本数にも置き方にも触れていません。
記載を見つけられなかった宗派について、開いたページを書いておく
「確認できなかった」を「決まりがない」と読み替えないために、どこを開いたかを残します。以下は、墓前の線香の本数や置き方についての記述を見つけられなかった、という報告です。宗派に決まりが存在しないという意味ではありません。
真宗大谷派の公式サイトでは、葬儀・法事・お墓についてのページを開きました。焼香の作法は細かく書かれていて、香炭の上に香を2度入れること、押しいただいたり煙をあおいだりしないことまで示されていますが、線香の本数や置き方についての記述は、このページに確認できませんでした。かわりに書かれていたのは、墓前で何をする場なのかという話でした(真宗大谷派 葬儀・法事・お墓)。作法の手順ではなく、参る意味のほうへ言葉が向いています。
日蓮宗の公式サイトでは、Q&Aの一覧を開きました(日蓮宗 Q&A)。日蓮宗について、教えについて、仏事について、といったくくりで質問が並んでいます。そのなかに、墓前の線香の本数や置き方に答えた項目は見当たりませんでした。
高野山真言宗では、金剛峯寺への参拝の作法を示したページに「ろうそく・線香または焼香・お賽銭をお供えし読経・祈願」とありました(高野山金剛峯寺 参拝の作法)。線香は供えるものとして出てきますが、何本かも、立てるか寝かせるかも書かれていません。しかもこれは寺院への参拝の作法であって、お墓の作法ではありません。
記述が見当たらないことを、どう受け取ればよいのでしょうか。定めていないから書いていないのか、当たり前すぎて書く必要がないのか、そもそも公式サイトが扱う範囲の外にあるのか。開いたページからは、そこまで読み取れませんでした。はっきり言えるのは、公式に書かれた文言としては存在を確認できなかった、という一点だけです。
つまり、公式に「寝かせる」と書いているのは本願寺派の一つ。「立てる」と書いているところは、見つけられませんでした。線香の解説記事に並ぶあの一覧表は、この状況の上に載っていることになります。
折るのは失礼か——線香という形は、そこまで古いものではない
本願寺派が「短く数本に折って」と書いていることに、驚く方がいます。折ってもいいのか、と。
折ることを禁じた記述は今回開いた宗派の公式サイトのどこにも見つけられませんでしたし、経典に線香の扱いを定めた根拠があるかどうかも探しましたが、こちらも見つけられませんでした。断定はできません。ただ、探しても出てこないという事実は残ります。
背景として、線香という棒状の形そのものが日本ではそう古くありません。堺市は伝統産業の紹介ページで、堺線香についてこう書いています。「16世紀の終わりに中国から製法が伝わり、日本で初めての線香が作られました」(堺市 堺線香)。仏教の経典が成立したころには、この形の線香はまだありませんでした。
香をたく行いは古くからありました。形が今のかたちになったのは、あとの時代です。作法が宗派ごとに細かく定まっていないのは、そう考えると自然なことにも思えます。
実家と嫁ぎ先で宗派が違うとき、どちらに合わせるか
お参りするお墓の側に合わせます。そのお墓を守っている家の宗派が、そのお墓の作法です。ご自身が別の宗派で育っていても、香炉に線香を置くときはそちらに寄せておけば、間違いになりません。
自分の家の宗派が分からない、という声もよくうかがいます。手がかりは家の中にあります。お仏壇の中の掛軸やご本尊、位牌の戒名の付き方、過去帳。墓石の正面に「南無阿弥陀仏」「南無妙法蓮華経」といった文字が刻まれていればそこからも絞り込めますし、法要のときにお経のはじめで何と唱えていたかを思い出せれば、それも手がかりになります。
それでも分からないときは、菩提寺(ぼだいじ。先祖代々のお墓があるお寺)へ電話で伺うのが確実です。宗派だけでなく、そのお寺に伝わってきた作法や霊園の決まりまで一度に分かります。当日の段取りのほうはお墓掃除の手順と墓参のマナーにまとめてあります。
宗派が分からないまま参ってはいけない、ということはありません。香炉に置いて、手を合わせる。それで足ります。作法を確かめるのは、次に行くまでの宿題にしておけば十分です。
風の日、火がつかない香炉。前の人の線香が残っている香炉
ここからは、代行でお墓に伺っている側の話です。宗派の作法を調べても出てこない場面のほうが、現場では多く起きます。
屋根のない香炉は、風で消える
立置型のように上が開いた香炉は、風を受けやすい形です。着火しても、置いた瞬間に消えることがあります。手で囲う、体で風上をさえぎる、香炉の奥のほうへ寄せる。この三つで、たいていはしのげます。
杉線香は煙が多く、墓参に向くとされてきました。屋外では香りより煙の見え方が頼りになるからです。ただし風の強い日は、太い分だけ火が回るまでに時間がかかります。お墓参りでろうそくを灯す意味にも触れていますが、風よけのついた燭台を持っていくと、この場面がずいぶん楽になります。
くり抜き型は、奥まで届かせる
正面を彫り込んだくり抜き型の香炉は、手前が浅く、奥が深いという形をしています。手前に寝かせて置くと、線香の先が外にはみ出したまま燃え、途中で風にさらされて消えてしまいます。奥まで滑り込ませてから置くと、石が風よけになって最後まで燃えます。
灰が溜まっている香炉では、奥へ入りません。参るたびに少しずつ溜まるものですから、掃除の日には香炉の中も見てあげてください。墓石の表面をどう洗うかは墓石を水で洗うときの手順にまとめています。
前の参拝者の線香が残っているとき
お盆やお彼岸のお墓では、これがよく起こります。8月に伺った件数は487件でしたが、この時期は香炉が灰でいっぱいになっていたり、前の方の線香がまだ燃えていたりするお墓に出会うことが増えます。
結論から言えば、消す必要はありません。残っている線香の火を消して片づける決まりは、宗派の公式サイトにも、霊園の利用案内にも見つけられませんでしたし、その日のうちにほかのご家族が足を運ばれた証しでもあります。
空いているところへ、自分の線香を置けば足ります。置く場所がなければ、燃え尽きるのを少し待つか、香炉の縁に寄せてもかまいません。他家のお墓の線香に手を出すことだけは避けます。
持ち帰りを求める霊園では、寝かせると回収しにくい
お供え物の持ち帰りをお願いする霊園が増えています。線香は燃え尽きるものですが、軸が残ります。寝かせて置いた線香の軸は灰に埋もれやすく、あとから拾おうとすると手間がかかります。
持ち帰りの決まりがある霊園では、香炉の灰を平らにならしてから置くと、軸が見つけやすくなります。お供えのルールについてはお供え物の意味と供え方にまとめました。火気そのものを制限している霊園もありますから、迷ったら管理事務所に先に確かめます。霊園の決まりは、宗派の作法より優先されます。
迷ったときに効くのは、宗派の名前より香炉の口の広さ
お墓の前に立ってから調べ直すのは、なかなか大変です。判断の順番を決めておくと、迷いが短くなります。
まず、霊園の決まりを確かめる。火気の制限や持ち帰りの有無は、ここで決まります。次に、香炉の形を見る。口が広く奥行きがあるなら寝かせられますし、細ければ立てます。最後に、家の宗派の作法があればそれに合わせる。この三段で、たいていの場面は片づきます。
形のほうを先に見る順番は、宗派を軽んじることになるのでしょうか。なりません。本願寺派自身が、口の広い土香炉と口の狭い金香炉という形の違いから置き方を説明していました。形から入る読み方は、公式の書きぶりをそのままなぞったものです。
本数は、この順番のどこにも入っていません。天台宗が書いているとおり、決まりを定めていない宗派があるからです。お墓参りで決まっていることの範囲を調べたときも同じでしたが、決まっている部分は思っているより狭いものでした。
お墓が遠い、体力的に難しい、という事情でしばらく足を運べていない方もいます。そういうときは、代わりに伺うという方法もあります。お墓参り代行を頼むときの流れに、当日どう進むかを書いています。線香をどう置くかも、ご家庭の作法をうかがったうえで合わせています。
お墓の線香について、よくいただくご質問
浄土真宗以外は、立てておけばよいのですか
そう言い切れる根拠は見つけられませんでした。「立てます」と公式に書いている宗派を、今回は確認できていません。立てる形の香炉なら立てる、寝かせる形なら寝かせる。この判断で差し支えありません。
線香を折るのは失礼にあたりませんか
浄土真宗本願寺派は「短く数本に折って寝かせます」と自ら書いています。折ることを禁じた記述は、今回開いた範囲では見つけられませんでした。香炉に収まらない長さのときは、折って置いて構いません。
お寺の僧侶が3本立てていたのは、どういう意味ですか
そのお寺や地域に伝わってきた形と考えられます。3本を仏・法・僧に当てるという説明を目にすることはありますが、今回開いた宗派の公式サイトでは、その根拠を確認できませんでした。気になるときは、その場でうかがってしまうのがいちばん早い方法です。
東日本と西日本で違いはありますか
地域によって違うという説明はよく見かけます。ただ、地域差を裏づける公的な調査や宗派の記述は見つけられませんでした。実際にお墓を回っていて感じるのは、地域よりも霊園ごと、家ごとの差のほうです。
神道やキリスト教のお墓に、線香をあげてもよいのですか
線香は仏教の供養で使うものです。神道のお墓では玉串や榊、キリスト教のお墓では花を供えるのが一般的とされています。よそのお墓へ伺うときは、香炉が据えられているかどうかを見れば見当がつきます。香炉がなければ、線香は持たずに手を合わせます。
火のつけ方や消し方は、宗派で違いますか
宗派ごとの違いを示した記述は、今回開いた公式サイトには確認できませんでした。手であおいで消す、口で吹き消さない、といった一般的な扱いはお墓参りで線香を焚くときのルールのほうにまとめています。
香炉が灰でいっぱいで、線香を置けないときはどうしますか
灰は参るたびに少しずつ溜まります。燃え残った軸が刺さったまま固まっていることも多く、そのままでは新しい線香を寝かせる隙間がありません。小さなスコップや使い捨てのスプーンで軸を取り除き、灰を平らにならしてから置きます。灰をまとめて処分するときは、置き場所を指定している霊園がありますので、管理事務所に先に確かめてください。
香炉に線香を置く向きに、決まりはありますか
向きについては、今回開いた宗派の公式サイトで定めた記述を確認できませんでした。広く紹介されている置き方は線香をあげる意味と基本のルールにまとめてあります。
香炉をひとつ覚えておくと、次の年から迷わなくなる
調べたことを並べ直します。今回たどった範囲で、公式に置き方を書いていたのは浄土真宗本願寺派だけで、その理由として挙げられていたのは教義ではなく香炉の形でした。天台宗は本数に決まりがないと書き、曹洞宗は仏壇の朝のお勤めとして一本と書き、浄土宗と真宗大谷派と日蓮宗と高野山真言宗では、墓前の線香の作法を見つけられませんでした。
宗派別の一覧表が答えを持っているように見えて、その表の出どころは、たどっても公式にたどり着きませんでした。かわりに出てきたのが、口の広い土香炉と口の狭い金香炉という、形の話です。
だとすれば、覚えておくべきは宗派名ではありません。当日の持ち物をどう決めるかはお墓参りの持ち物リストにまとめました。自分の家の香炉がどんな形で、線香が横に収まるのか、立てるしかないのか。それを一度確かめておけば、次の年からは香炉を見た瞬間に手が動きます。
香炉に線香を置いて、煙が上がるのを見届ける。そのあいだ考えているのは、たいてい作法のことではありません。線香の作法は、そこへたどり着くための入口です。入口で立ち止まらずに済むように、形をひとつ、覚えて帰ってください。